おんぱく写真部レポート

偶然もまた魅力に。

 事務局の奥村です。
 実は、このプログラムに私が参加するのは3回目!すっかりリピーターです。
 事務局にもファンが多くて、デザイナー陣を中心に毎年誰かしら参加しています。(もちろん実費で!)
 参加者の方も「この人、絶対ただものじゃないな」という絵を書きなれた人と、絵を描くことが子供時代以来という方が混ざっているのですが、どちらのタイプの方も満足できるプログラムです。
 科学実験のような腐食も不思議な体験ですし、良い意味で狙い通りにはならない、版画の偶然性が楽しくて。

 そう、銅版画って、そんなに絵が上手じゃなくても「なんかいい感じ!」な作品が作れるんです。
(たいして絵がうまくない私にはうってつけ)
 今回も写真レポートはそこそこに、私も真剣に作品作りに没頭しています。

 今回の参加者の皆さんは、あらかじめ描きたいものをイメージしてこられた方が多く、版とニードルを渡されると、ご自分の作品作りに没頭していきます。鋭い針で、コーティングの膜を削り取っていきます。
印刷されるときには反転するのが、難しいところ。

 私の版。削るとこのように下地の銅がキラキラします。
今回は「その先へ…」とタイトルがついている通り、3通りのコースが選べました。
A. 黒1版(銅板)…シンプルで版画らしくなり、集中して時間をかけられる
B. 黒1版(銅板)→カラー1版…黒だけのものをひとつ刷ってから、カラー版をあとで作るコース
C. 黒1版(銅板)+カラー1版…黒とカラーを同時に作り、同時に刷る上級者コース

 私はCで。銅板は、凝りだすとどんどん線を足したくなる欲望にかられるので、今回はあとで着色することも考えて引き算でぐっとこらえます。(でも、どんどん足していくのもそれはそれで楽しいんです)

 カラーの版は、ドライポイントという技法を使います。
アクリルの板に針で溝をつけていきます。銅板のように繊細な線は作りにくいですが、 案外これでインクがたまる溝ができるんです。

 銅板のほうは、腐食液につけます。銅が溶けるほどの酸の液体です。
 こちらも年を重ねてプログラム向けに改善された、腐食が早い液が使われていました。気温にも影響されるのですが、よいお天気だったので順調にみなさんの腐食が進んでいきます。

 待っている間に、お茶タイム。コネクションズの英国人スタッフがいれてくださる本場のアイスティーが、絶品です。

 インクを詰めて(これが難しくも偶然性が生まれるところ)、ローラーで圧力をかけて刷ります。絵が出てくる瞬間が、一番緊張するけれど楽しい瞬間。みなさんのかわいい絵がどう刷り上がるのか気になります。

どれも愛おしい、みなさんの力作

 ほんとに、毎回みなさんの作品に驚かされるんです。
版画ならではの、インクのにじみや油膜も味になって、どれも絵本になりそうなくらい素敵です。

 今年は、時間的に残っていける参加者さんだけで、見せ合いっこも行いました。
 直接、「こんな意図があって…」と聞くと、また絵に深みが加わって見えてきます。

 余談ですが、会場となったコネクションズで、おいしい英国ランチやアフタヌーンティーがいただけます。今回は早めに会場入りして、月1くらいしか出会えないブランチセットをいただいていました。おいしくて素敵なお店なので、我が家では家族でお気に入りのお店です。

 毎回、講師の作品展が同時期に開催されているのも、楽しみのひとつ。講師の森田朋さんと、補助で入ってくださった簗瀬貴子さんの女性らしい感性が素敵で、こちらを見に行くだけでもお勧めです。

〔奥村〕


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080 金華山の麓の町家カフェで 銅版画その先の世界へ
 2016/10/09(日) ,10/15(土) 開催